「限界集落」と「地方消滅」③

限界集落」とは、地域人口の50%以上が65歳以上の集落を指します。

このような集落では、若者が流出し、冠婚葬祭などの社会的共同生活を

維持することが困難になっています。

限界集落」が発生する原因としては、次の3つが考えられています。

  • 集落内に盛んな産業がない

限界集落」にある産業は、農林業や漁業など1次産業が多く、持続的に

十分な収入を得ることが難しいです。

  • 不便である

限界集落」は、立地が不安定な場所にあることも多く、都市部に比べて

生活が不便です。

  • 集落に人が移住しない

人口流出が多くても、人口流入がそれを上回る集落であれば、「限界集落」には

なりません。

限界集落」となってしまったら、以下の様な問題が発生します。

害獣の増加:人口が減少することで環境を整える人が減り、植物が根を

 生やすことや野生の動物が増えることは自然なことです。

自然災害リスクの増加:人口が減少したり、高齢化で様々な担い手がいなくなると、

 自然災害のリスクもします。

インフラ維持の困難:高齢化のため、手入れが行き届かなくなった貯水槽や

 水道施設の老朽化、水源の枯渇などで生活用水の確保が難しくなっている

 現状があります。

これらの問題に対する対策としては、企業の誘致、イベント開催、古民家を活用した

観光、空き家の活用などが考えられます。

限界集落」の問題は深刻で、地方創生の一環として解決策を見つけることが

求められています。

 

社会課題解決を軸にした就職・転職活動を支援する、社会活動家である

吉田宏輝氏が「限界集落とはどこ?定義や3つの原因、対策」をわかりやすく

解説していますので紹介します。

 

皆さんは、限界集落という言葉を耳にしたことがあるでしょうか。

限界集落とは、集落内の人口が減少し、地域としての機能がうまく回らなくなって

いる状態です。

この言葉が生まれた当初は、集落から若者が減ることはあまり考えられて

いませんでした。

しかし、現在では、集落内から段々と人が減少してきています。

○全国、過疎地域の人口の推移(将来推計人口含む) 

限界集落とは?簡単に解説

限界集落とは、65歳以上の人口比が50%以上で高齢化が進み、

共同体の機能維持が限界に達している状態です。

うまく回らない理由としては、高齢化やその集落で暮す人の減少などが考えられます。

また、限界集落という言葉自体は、大野晃という社会学者が1990年代に提唱し、

広まりました。

限界集落と7つの区分

存続集落
定義:55歳未満、人口比50%以上
跡継ぎが確保されており、共同体の機能を次世代に受け継いでいける状態。

〇準限界集落
定義:55歳以上、人口比50%以上
現在は共同体の機能を維持しているが、跡継ぎの確保が難しくなっており、

限界集落の予備軍となっている状態。

限界集落
定義:65歳以上、人口比50%以上
高齢化が進み、共同体の機能維持が限界に達している状態。

〇危機的集落
定義:65歳以上、人口比70%以上
9軒以下、高齢化が進み、共同体の機能維持が極限に達している状態。

〇超限界集落
定義:定義なし
特に定義はないが、約5軒以下、限界(危機的)集落の状態を超え、消滅集落への

移行が始まっている状態。
〇廃村集落
定義:1軒2名以下
限界集落の状態を超え、残り1軒となり、集落の機能が完全に消滅した集落の状態。
〇消滅集落
定義:人口0
かつて住民が存在したが、完全に無住の地となり、文字どおり、集落が消滅した状態。

限界集落が多い地方ランキング

順位

地域

機能低下

継続維持

限界集落

1位

中国圏

2710

479

3189

2位

九州圏

2389

492

2881

3位

四国圏

1336

682

201

4位

東北圏

1584

213

1797

5位

中部圏

941

200

114

6位

近畿圏

602

263

865

7位

首都圏

579

61

640

8位

北海道

483

135

618

9位

北陸圏

229

90

319

10位

沖縄県

40

30

70

参考:過疎地域における集落の状況に関する 現況把握調査最終報告|総務省

 

限界集落が発生する原因

限界集落が発生する原因としては、次の3つが考えられています。

集落内に盛んな産業がない

限界集落にある産業は、農林業や漁業など1次産業が多く、持続的で十分な収入を

得ることが難しいです。

もし、集落の周辺や集落一帯を代表する盛んな産業があれば、発展を見込むことが

できますが、そうでない場合は衰退していく一方です。

そのため、集落から職を求め若者が減少していく一方で、昔から住んでいる方の

高齢化が進んでいきます。

不便である

限界集落は、立地が不安定な場所にあることも多く、都市部に比べて生活が不便です。

携帯の電波が入らなかったり、近くに娯楽施設や店がないだけでなく、

病院や市役所といった生活していくうえで重要となる施設もない場合があります。

また、公共交通機関などのインフラが整っていない集落が多く、車での移動が

必須です。

集落に人が移住しない

人口流出が多くても、人口流入がそれを上回る集落であれば、

限界集落にはなりません。

しかし、人口流出が人口流入よりも多い集落であれば、産業が衰退してしまい、

限界集落になってしまいます。

近年、都会から田舎へ引っ越す方も増えています。しかし、集落の方が移住者を

受け入れる制度や環境が整っていないことが多いです。

集落には強いコミュニティが形成されていることもあるので、入りにくい雰囲気などが

あれば移住者は増えないでしょう。

 

限界集落4つの問題点

限界集落となってしまったら、どのような問題が発生するのでしょうか。

4つの問題点を見ていきましょう。

害獣の増加

人口が減少することで、環境を整える人が減り、植物が根を生やすことや

野生の動物が増えることは自然なことです。

しかし、集落に住んでいる方の生活を脅かしてしまう程になるケースも。

イノシシやクマなどは人里に降りてきて人に襲い掛かってきたり、育てている作物が

食べられたりする危険性もあります。

限界集落では、このような自然と共に暮らしていくことも大きな問題となります。

食料自給率の低下

多くの限界集落では、農業、林業、漁業などの一次産業が主な産業となり、

人々が暮らしているため、間伐などが定期的に行われ、耕作に適した土地が整います。

また、山林を間伐することによって海にも良い栄養が渡り、海の生命が豊かに

なるのです。

しかし、高齢化が進んで農林業・漁業をする人がいなくなれば、耕作などができない

土地になってしまうという問題が起こります。

そもそも、第一次産業をする人がいなくなるという問題が起こり、国産の農産物や

水産物が減ってしまいます。

自然災害リスクの増加

人口が減少したり、高齢化で様々な担い手がいなくなると、自然災害リスクも

増加します。

例えば、空き家などが増えてくると土地を管理する人がいなくなるため、

豪雨の際など土砂崩れが起こりやすくなります。

さらに、災害時、住民の方を安全な場所へ誘導したり、危険を伝えることが

遅れてしまう危険性もあります。

インフラ維持の困難

高齢化のため、手入れの行き届かなくなった貯水槽や水道施設の老朽化、

水源の枯渇などで生活用水の確保が難しくなっている現状があります。

しかし、どの自治体も財源に余裕がない為、水道管や道路、電気などの

インフラに十分な予算を回すことができません。

人口が少ない限界集落よりも、人口が集中している所のインフラ整備や

観光資源などに十分な予算を充てるでしょう。

限界集落では、インフラ整備が十分に行き届いていないことも生活していくうえでは

リスクとなっています。

 

限界集落の対策は何がある?

限界集落の対策を4つ紹介します。

企業の誘致

集落に大きな企業の仕事場が設置されると、会社に勤めている人が移住したり、

自治体にも税収入が入ったり、若者の雇用が生まれたり、と様々なメリットがあります。

上記で挙げた3つの要因を補えるため、企業誘致によっていくつものメリットを

得ることが期待できます。

イベント開催

集落への移住者を増加させる為には、まず集落のことを外部の人に知ってもらい

関係人口を増やさなければなりません。

そこで、イベントを行い集落の魅力をアピールし、知名度を向上させるという方法が

あります。

集落の特産品や、景観の良さなどを活用してイベントを開催することで多くの人が

集落の魅力を知ることができます。

魅力的に感じた人は、移住してきたり、観光にきたりするでしょう。

このように、集落の今まで知られていなかった魅力を、知ってもらうような

きっかけづくりをすることは大切なことです。

古民家を活用した観光

集落での暮らしは、都心での暮らしと違い、自然を感じながら暮らすことができたり、

昔の風情を感じたりできます。

そのため、都心ではあまり見られない古民家を活用した宿泊施設の運営や、

カフェを開いたりといった観光地化というのも考えられます。

空き家の活用

限界集落では空き家が大きな問題となっています。その空き家を活用する方法として

注目されているのが「空き家バンク」です。

「空き家バンク」とは、自治体が運営しているもので、空き家を所有しているが

その空き家を活用したい人と、移住目的で物件を探している希望者を

マッチングするというサービスです。

空き家を貸したい人、又は売りたい人が「空き家バンク」に登録し、

空き家を使いたい人は自治体に連絡をして紹介してもらいます。

 

限界集落に対する企業の取り組み

株式会社LIFULL

LIFULLは「あらゆるLIFEを、FULLに。」をコーポレートメッセージに掲げ、

個人が抱える課題から、その先にある世の中の課題まで、安心と喜びを

さまたげる社会課題を、事業を通して解決していくことを目指す

ソーシャルエンタープライズです。

現在は、グループとして世界63ヶ国でサービスを提供しており、

主要サービスである不動産・住宅情報サイト「LIFULL HOME’S」をはじめ、

空き家の再生を軸とした「LIFULL 地方創生」、シニアの暮らしに寄り添う

「LIFULL 介護」などの事業を展開しています。

株式会社フューチャーリンクネットワーク

フューチャーリンクネットワークは、地域の人と情報が集まる

プラットフォーム「まいぷれ」の構築・運営・全国展開を通じて、持続可能な

地域活性化に寄与するソリューションを提供する企業です。

地域活性化というテーマにおいて、ボランティアではなくビジネスとして

成り立つしくみをつくることで、継続的且つ発展的に地域の課題を解決しています。

その他にも、公共ソリューション事業やマーケティング支援事業を展開しています。

ランサーズ株式会社

ランサーズは、「個のエンパワーメント」の実現を目指して、

フリーランスマッチングプラットフォームを運営しています。

地方創生において、クラウドソーシングという「新しい働き方」の仕組みと、

それを実践する「人」を活用した地方創生を、地方自治体に提供し、地域の活性化を

図るサービスを行っています。

 

まとめ

今回は、限界集落とその問題点や解決方法についてご紹介しました。

限界集落とは、集落内の人口減少により、人が生活していくために必要な人数が

揃わないため、地域としての機能がうまく回らなくなってしまっている状態のことを

いいます。

 

今後も限界集落は増えていくでしょう。

 

他人事とは思わず、1人1人が限界集落が増えている現状を認識し、

行動を起こすことも大切になります。

まずは、限界集落というものを理解し、現時点で起こっていることと

向き合うようにしましょう。

 

 

ありがとうございます

「地方消滅」と「限界集落」②

結局、山下祐介著「地方消滅の罠」で山下氏が言わんとしていることは

「増田レポート」の虚妄を暴きなどと言ってはいるものの、出口は一緒で

入口が違っているというふうにも取れる。

「地方消滅の罠」の主要なポイントは以下の通りです。

  1. 人口減少の原因:本書では、人口減少がなぜ起きるのかについて
  2. 考察しています。
  3. 地方消滅の罠:「増田レポート」が提唱する「選択と集中」の論理に対して、
  4. 方を消滅へと導く罠があると指摘しています
  5. 「選択と集中」論の危うさ:「選択と集中」などという論理を振りかざす
  6. 本当の狙いは何か、という問いを投げかけています1
  7. 多様なものの共生:「選択と集中」に対抗する形で、「多様なものの共生」を
  8. 提案しています
  9. 「ふるさと回帰」の可能性:「ふるさと回帰」が地方の再生の切り札になる
  10. 可能性について考察しています

6.持続する制度の創出:地方を守るために必要な論理と、再生に向けた道筋を

示すための持続する制度を生み出すことを提言しています

以上のポイントを通じて、山下祐介氏は「増田レポート」の虚妄を暴き、

地方を守るための新たな視点を提供しています

これらのポイントは著者の主張であり、必ずしも全ての読者が同意するわけでは

ありません。

「地方消滅の罠」は、日本の地方都市や町村の人口減少という問題に焦点を

当てています

 

しかし、その議論は他の地域や国でも一部当てはまる可能性があります。

人口減少という問題は、先進国や発展途上国の多くの地域で共通して見られます。

特に、若者が都市部に流出し、地方が過疎化するという現象は、

世界中の多くの地域で問題となっています。

しかし、具体的な状況や背景は地域により異なるため、山下祐介氏の提案が

そのまま他の地域に適用できるわけではないかもしれません。

例えば、地域の経済状況、政策、文化、歴史などは、地方の問題を理解し、

解決策を考える上で重要な要素です。

 

 

 

「限界集落」と「地方消滅」①

限界集落」と「地方消滅」

最近、この文言がよく話題になってよく登場するが

限界集落」は現実として存在するし、事実消滅した集落は存在する。

限界集落」と「地方消滅」には、「集落」と「地方」という言葉になりますが

規模の違いと消滅する速度の違いの意味合いにも取れます。

「地方」に関しては「する」「しない」と議論が分かれていますが両者を

考えてみたいと思います。

 

「地方が消滅しないという主張」について

地方が消滅しない理由と、地方が持続可能であるための戦略、策を述べてみたいと

思います。

 

地方が消滅しない理由

1.文化的な多様性: 地方はその地域固有の文化や伝統を持っています。

これらは地方のアイデンティティを形成し、地方の魅力となります。

これらの文化や伝統は、地方が消滅しない大きな理由の一つです。

2.地域の経済: 地方は地域の経済を支える重要な役割を果たしています。

地方の産業や事業は、地域の雇用を生み出し、地域経済を活性化します。

3.地域コミュニティ: 地方には強い地域コミュニティが存在します。地域住民が

互いに協力し、地域の問題を解決することで、地方は持続可能な社会を

形成します。

 

地方が持続可能であるための戦略

1.地域資源の活用: 地方は地域の自然資源や人的資源を最大限に

活用することで、持続可能性を確保します。

地域の特産品の開発や観光資源の活用などが具体的な例です。

2.地域経済の発展: 地方自治体は地域経済の発展を促進するための政策を

策定します。地元企業の支援や新規事業の誘致などが行われます。

3.地域社会の参加: 地域社会の参加は地方の持続可能性を高めるために

不可欠です。地域の人々が地域計画やプロジェクトに参加し、自分たちの

地域をより良くするためのアイデアや意見を提供することが重要です。

 

以上のように、地方が消滅しない理由と地方が持続可能であるための戦略は、

地方の文化的な多様性、地域の経済、地域社会の参加など、多くの要素に

よって支えられています。これらの要素が組み合わさることで、地方は消滅せず、

むしろ繁栄することができます。地方の持続可能性を追求することは、

私たちが地方の価値を理解し、地方の持続可能性を追求するための

重要な指針となります。

 

次に、地方の持続可能性を高めるための具体的な施策は以下の通りです。

1.地域資源の効果的な利用: 地域の特産品を活用した新商品の開発や、

地域の観光資源を活用した観光事業の推進などが考えられます。

また、地域の人々のスキルや知識を活用した新たな産業の育成も重要です。

2.地域経済の発展: 地元企業への支援策を強化したり、新規事業の誘致を

行ったりすることで、地域経済の活性化を図ることができます。

また、地域内での経済循環を強化するめの施策も重要です。

3.地域社会の参加: 地域の人々が地域計画やプロジェクトに

参加する機会を増やすことで、地域社会の活性化を図ることができます。

また、地域の人々が自分たちの地域をより良くするためのアイデア

意見を提供できるような場を設けることも重要です。

4.環境保全: 地域の自然環境を保全するための政策を策定し、持続可能な

開発を推進することが重要です。具体的には、自然保護区の設定や

環境教育の推進、エコツーリズムの開発などが考えられます。

これらの施策は、地方の持続可能性を高め、地方が消滅せずに繁栄するための

重要な要素となります。地方の持続可能性を追求することは、

私たちが地方の価値を理解し、地方の持続可能性を追求するための

重要な指針となります。

地方の持続可能性を追求することは、私たちが地方の価値を理解し、

地域社会の繁栄と調和を促進するための重要な指針として、

  • 文化的多様性: 地方固有の文化や伝統は、地方のアイデンティティを形成し、魅力を高めます。
  • 地域経済の支援: 地方の産業や事業は、雇用を生み出し、

地域経済を活性化させる役割を果たします。

  • 地域コミュニティの強化: 地方には協力的な地域コミュニティが存在し、

持続可能な社会を形成します。

 

これらの要素は、地方が消滅せずに繁栄するための基盤となります。地方の価値を

理解し、その持続可能性を追求することは、私たちにとって重要な指針です。

 

地方は消滅しないというための論として「地方の重要性」、「地方の持続可能性」を

説いてきましたが結論としてどのように言えるか

結論として、地方が消滅しないという主張は、地方の重要性とその持続可能性を

強調します。地方の文化的な多様性、地域の経済、そして地方自治体の努力と

地域社会の参加によって、地方は消滅せずに持続することができます。

これらの要素が組み合わさることで、地方は消滅せず、むしろ繁栄することができます。地方が消滅しないという信念は、私たちが地方の価値を理解し、地方の持続可能性を追求するための重要な指針となります。

したがって、地方の存在とその持続可能性は、私たちの社会、経済、そして文化の

多様性を維持するために不可欠であると言えます。これは地方が消滅しないという

主張を支持する強力な論拠となります。地方の持続可能性を追求し、地方の価値を

理解し、尊重することが、地方が消滅しないための最善の戦略であると

結論付けることができます。

 

次に

「地方消滅」に危機感を持つべきという論について

増田寛也氏が座長をしている、「日本創生会議」が2014年に発表したレポート、

これこそが読んで衝撃を受けた、最近読んだのだが、なんせ、このままだと

半数の自治体が消滅するということだから、とにかく驚いた。

この「増田レポート」なるもの、ちょっと長いですが、要約します。

増田寛也

「地方消滅」の要約・・・増田レポートの内容とは?

日本の人口は少子化の影響により、将来的に減少していくことは周知の事実です。

ではどれくらいの人口になるのかというと、2050年には9700万人。

日本人イコール1億というイメージがありますが、2050年には割ってしまいます。

そして、2100年には約4960万人と急減し、これは明治時代と同程度の

水準だそうです。

その原因は、もちろん少子化合計特殊出生率は多少改善したものの低いままですし、これまでの政府の施策も効果をあげられていません。

では、このままどのように人口減は進むのか。そして、どうすれば抑えられるのか。

このレポートの中で提言されています。

 

将来の人口減少を低減させるべく、素早い対応(合計特殊出生率の向上)が必要

人口減を抑えるといっても、実はもうすでに手遅れだったりします。将来的に人口が

減るのはほぼ確定的。いかに減少を抑えるかという段階にあるのが実状です。

人口が大きなタンク内の水であると例えるなら、現在はすでに亀裂が入って

水が漏れ出している状態です。少子化とは、タンクへ注がれる水よりも、亀裂から出て行く水の量の方が多いのであり、しかもその亀裂は埋めることが難しく、常に水が

漏れ出た状態であると言えます。

タンクの水量を保つには、蛇口の水を増やすしかありません。蛇口の水量が、亀裂から漏れ出る量と同じになれば、水量は一定に保たれます。

亀裂は昔から存在しました。当時はタンクへの注水量の方が多かったので

問題ありませんでした。ところが、最近注水が少なくなり、漏れ出す量の方が

大きくなってしまっています。現に、日本の新生児数は過去最低を記録しています。

注水量を増やせば良いのですが、水道工事をするにしても、水量が増えるまでに

時間がかかります。その間タンクの水は減り続けるのです。

水の量を減らさないためには、いかに早く工事に取り掛かって注水量を増やすかが

重要です。

人間をタンクの水に例えるなんて怒られるかもしれませんが、マクロ的に量の問題と

考えるなら、まさにそういうことなのです。この本の中でも素早く手を打つことの

重要さが説かれています。

人口維持に必要な合計特殊出生率は2.07。例えば1.8を2030年に達成、

そして2040年に2.07を達成した場合、将来の人口は9,000万人台で

維持されることになります。人口が減るのは確実なのですが、上で紹介した

4,960万人とは大違いです。この2.07を達成するタイミングが遅くなればなるほど、

将来の人口が低い位置で推移することになります。素早い対策が必要なのです。

 

若い女性の社会移動により自治体が消滅する

その対策として筆者が重要視しているのが、社会移動です。中でも若年女性の

社会移動が特に重要とされています。つまり、ちょうど子供を産む年齢の女性が、

地方から大都市部特に東京へ流れている現状が問題とされているのです。

若い女性が地方から東京に移動している状況は、なんとなく理解できますし、

肌感覚で実感しているところでもあります。

それが問題であるとは、一体どういうことなのでしょうか。

日本の人口はこれから3段回のプロセスを経て、減少していくようです。

現在進行しているのが少子高齢化。まず1段目として、老年人口が増加しつつ

生産年齢人口が減ります。それが2040年頃まで。

2040年には老年人口の増加が止まり、2060年になると老年人口も減少します。

つまり、第2段目は老年人口維持かつ生産年齢人口減少、第3段目は老年人口と

生産年齢人口ともに減少していきます。

ただ、これは日本全体の数字です。人口は地域によって大きな格差が生じます。

それには人口の社会的移動が関わってくるのです。

社会移動は、若年層が地方から大都市部へと移動するのが中心的。

特に20〜39歳の女性の移動に着目しなければなりません。子供の95%は、

その年齢から生まれてくるから。

そしてこのレポートの肝であり、世間をざわつかせた事実がこれです。

2040年までに20〜39歳の女性人口が5割まで落ち込むと、人口が維持できない、

すなわち消滅するとされており、そのような市町村は896にも及ぶというのです。

全市町村で1,741ですから、日本の自治体の半数が「消滅可能性都市」なのです。

驚きです。

 

東京は人口のブラックホール

このような地方が消滅しそうなほど大都市部に人が集まる社会を、筆者は「極点社会」と呼んでいます。他の先進国を見ても、首都圏に人口が一極集中しているのは

異例であり、日本特有の課題です。

特に問題なのが、人口が過密する地域は出生率が下がること。東京の出生率

ダントツで低いのであり、極点社会は人口減に拍車をかけます。

まさに東京は「人口のブラックホール」なのです。

 

出生率の高い地方中核都市に若者をせき止める

では、国や地方自治体はどのような政策を取れば良いのでしょうか。

かつて「日本列島改造論」や「田園都市構想」といった施策が実行されてきました。

確かに地方は発展しましたが、人口流出の流れを変えるだけのインパクトは

ありませんでした。

筆者は、時間を考慮して「積極的政策」と「調整的政策」を並行して推し進めなければならないとしています。積極的政策では、人口の流れを大きく転換する施策です。

当然長い時間が必要です。そこで、まずは地方からの人口流出を止血すべく、

調整的政策を行います。地方での産業創出や教育機関の分散をすることで、

人が地方にとどまるようにするのです。

ではどこで止血するべきなのか。筆者は、地方の中核都市に若者がとどまるように

するべきであると述べています。地方中核都市を、東京へ若者が流れ出るのを

食い止める「ダム」とするのです。

地方の都市は、東京といった大都会よりも出生率が高く、子育てには適していると

言えます。東京へ移動する人口を少しでも地方にとどめることで、

日本全体の出生率を向上させることができるのです。

 

これから実施すべき政策や取り組みとは?

地方と大都市間の人の移動は、

1.学校への入学、

2.最初の就職、

3.40歳頃の転職、

4.定年の四つの機会があり、それらの時期に合わせた方策が必要です。

まず、地方での教育や雇用を強化しなければなりません。また、中高年の移住促進も

効果的でしょう。また、地方における産業を促進するためにも、地域の金融を

再構築しなければなりません。

そもそも、少子化が進行する背景には、非正規雇用が増えたりと、

若年層の経済的基盤も理由であるとされています。

経済的に結婚したくてもできない人が多いのです。

近頃は晩婚化していますが、女性が20歳代前半という若い時期に子育てを

開始すればするほど、出生率が上がります。

そのため若い人が安心して結婚できるよう、どんな職種であっても夫婦で

年収500万円を得られることを目標にすべきであるとも提唱されています。

企業における意識改革も必要です。長時間労働を是正して、男性も育児に

参加できるようにすべきですし、女性がもっと活躍できる職場でなければなりません。企業別に出生率を公表するのも一つの手であります。

また、レポートの中では、北海道の状況が紹介されています。大きな面積を持つ

北海道は、人口の状況において日本の縮図であると言えます。ここで注目したいのが、

札幌市のケース。実は札幌市は東京都に次いで2番目に出生率が低いのです。

その理由は、若年層の男女の人口がアンバランスであること。

北海道中から若年女性が集中するのと同時に、男性は主に東京へ流出することから、

札幌市は1割程度女性の人口が多い状態にあります。そのアンバランスにより、

出生率が低下したのです。女性の方が多いのですから、結婚できない女性が増えて

当然です。そして、その出生率の低い札幌へ若い女性が続々と集まることで、

北海道の人口減少の要因となってしまっています。

では、どのような地域が人口を増やしているのか。6つのモデルが紹介されています。「産業誘致型」「ベッドタウン型」「学園都市型」「コンパクトシティ型」

「公共財主導型」「産業開発型」です。中でも産業開発型がカギであると

されています。

地域の資源を活かした新たな産業振興により、地域の自立を促します。

例えば福井の鯖江といえば、眼鏡の一大産地です。海外産の眼鏡という不安要素は

ありますが、福井県内で人口増加率トップを誇ります。産業が盛んであれば、

会社が集まり、そして人も集まるのです。

 

「地方消滅」を読んで考えたこと。ー企業の地方移転が鍵となるー

東京一極集中の問題が昨今話題となっています。雇用環境の貧弱な地方から

大都市部へと人口が流出し、それが地方における人口減少を招いていることは、

誰もが知るところでしょう。

そして、そのような社会移動が、地方だけでなく日本全体の人口減少の原因とも

なっていることについて、ご存知な方は少ないのではないでしょうか。

東京は決して子育て適した地域ではないのでしょう。その証拠に出生率が全国で

もっとも低いのであり、そんな東京に若者が集まればどうなるでしょうか。

まさに人口のブラックホールです。

東京の出生率の低さは、以前よりこんな記事を書いていたので知るところでは

ありました。

ただ、若年世代の女性がキーであることは、この本を読むまで知りませんでした。

確かに出生率は、女性が一生の間にどれだけの子供を産むかの指標であり、

子供を産む年齢の女性の環境が大切なのは納得です。

 

企業の地方移転が鍵となる

では、どうすれば若者が地方にとどまるのか。自分なりに考えてみました。

それはやはり、「仕事があること」に尽きるでしょう。クリエイティブな人は、

どこでもネットを使って仕事を創り出すこともできるのでしょうけど、みんながみんなそういう訳にはいきません。雇用の絶対数が必要です。

過去の地方活性化は、企業の工場を郊外に整備した工業団地に誘致することが

目的でした。どこに行っても、ちょっとした丘の上に○〇工業団地が造成されて

います。

しかし、最近の工場って高度にオートメーション化されており、雇用数なんてそれほど多くはありません。一つの工場ができても、新規雇用数は100人や200人が

関の山でしょう。

それなら本社が移転するしかありません。パソナの淡路島移転が話題になりました。

そもそも金融だけじゃなく、製造業やサービス業などあらゆる企業の本社が東京に

集まらなければならない理由ってなんなのでしょうか。上場企業の半数以上が

東京に本社を置いています。

海外に目を向けても、日本のように一つの都市に政治から経済まで集中して

いるのって、ソウルに集中する韓国ぐらいのものではないでしょうか。

アメリカの場合、トップ100の企業のうちニューヨークに本社を置いているのは

4分の1しかないそうです。日本の場合、7割も集中しています。

企業が東京に集中するから、新卒の学生がそのまま東京に移動するのであり、

少しでも企業の地方移転が進めば、若年層の社会移動を抑えられるはずです。

 

いまどき東京を目指すべき?

そして、東京への集中って、なんだかブランド信仰的な要素もあるのではと、

少々うがった見方をしてしまいます。東京に住む自分ってなんだか特別な存在で

あるという感覚が多少でも意識の底にあるんじゃないでしょうか。

東京への憧れって、ブランド物に身を包むバブル期のような印象を受け、

決してカッコイイものではないような気がします。身の丈に合わないルイ・ヴィトン

持つようなものであり、普通のサラリーマンにとって東京はオーバースペックな

感じがします。

もちろん経済合理性が一番の理由であると思いますが、これまで地方から東京へ

移転を決めてきた経営層には、そのような昭和的な感覚も少なからずあったのでは

ないでしょうか。

 

地方頑張れ!特に大阪!

マクロ的に、そして長期的に考えた場合、極点社会は経済学でいう合成の誤謬であり、自らの首を締めるようなことだと思います。日本のGDPの大部分は貿易ではなく

内需であり、少子化はその内需の減少につながっていきます。

そもそも東京一極集中は経済合理性を求めた結果であるなら、皆んなが同じように

合理性を目指して行動すれば確実に需要が減るはずです。

人口のブラックホールである東京へ集中する流れを、変えていく必要があるでしょう。

そこで、地方の中核都市をダムにするべきであるという論調は、普段の自分の考えにかなり近く、納得するばかりでした。仙台や金沢、京都、松山、広島、福岡、

鹿児島などなど、地方の大都市が活性化することは、日本全体にとって良い方向へと

進む鍵になると思います。

特に大阪。かつて大阪にもたくさんの企業の本社がありましたが、どんどん東京に

流出してしまいました。大阪で営業していた時でも、顧客の発注権限が東京に

移ったり、企業そのものが東京へ移転した場面に何度も遭遇しました。

地盤沈下を肌で感じたのでした。

2025年にはIRの開業や、大阪万博が控えています。かつて江戸時代は、

天下の台所と言われたように、商業で大きく栄えた大阪。その流れで、保険や商社、

製薬などあらゆる業種の本社が置かれていました。今はみんな東京。

まずは、大阪の復活。そしてその勢いが地方へと波及すれば良いのですが。

 

 

ありがとうございます。

 

 

 

「プーチン氏の前にはもはや種々の敗北しかない」

マイケル・クラーク氏は英キングス・コレッジ・ロンドンの

防衛研究客員教授BBCへの2022年5月9日に

寄稿記事であり、大変興味深い内容である。

納得できる点もあると思います。

 

ロシアでは毎年5月9日を、第2次世界大戦の対独戦勝を

記念する「戦勝記念日」として祝う。モスクワで予定される

毎年恒例の軍事パレードなど、各種の祝賀行事でロシア政府が

何を主張するにしても、現状はウクライナに対する勝利とは

程遠い状態にあると、イギリスの国防研究者、

マイケル・クラーク教授は指摘する(文中敬称略)。

 

もはやこの戦争に、ロシアが有意義な形で勝つことはできない。

プーチンが2008年以降、世界各地で実現した軍事的成功は

どれも、小規模の精鋭部隊と雇い兵と地元の民兵集団、

そしてロシアの空軍力を組み合わせて実現したものだった。

 

ジョージアナゴルノ・カラバフ、シリア、リビア、マリ、

そして2014年にウクライナで2度、ロシア政府は低コストで

介入し、相当に有利な立場に立った(2014年にウクライナ

2度というのは、まずクリミアを違法に併合したのち、

ロシアに従属するルガンスクとドネツクの自称共和国を

作ったことを指す)。

 

どの場所でもロシアは素早く、容赦なく動き、西側世界は

段階的な制裁でしか対抗できなかった。

西側の制裁に現実を変える力はなかった。

プーチンは「現場で新しい事実を作り出す」のが得意だった。

 

今年2月に彼は、同じことをウクライナで、最大級の規模で

やろうとした。

人口4500万人の国、領土面積でいうと欧州で2番目に

大きい国の、政治的実権を約72時間のうちに奪取しようと

したのだ。

驚くほど無謀なギャンブルで、最も大事な第1週で、

その賭けは完全に失敗した。

プーチンにはもはや、戦争を拡大して突き進む以外、

あまり選択肢は残されていない。

戦争を拡大とはこの場合、ウクライナ国内で拡大するか、

ウクライナ以外で拡大するかだ。

エスカレーションは現状に組み込まれている。

そして欧州は近年の歴史で例を見ないほど、

危険な時点にさしかかった。

 

ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領の軍隊や、

外の世界が反応できる前に、首都キーウ(ロシア語でキエフ)の

政府を支配下におくという「プランA」の実現に失敗した後、

ロシア政府は「プランB」に移った。

これは「プランA」よりも「作戦展開」を重視する軍事的な計画で、

まずキーウを包囲してから、チェルニヒウ、スーミ、ハルキウ

ドネツクマリウポリ、ミコライウといった他の主要都市を

攻略しようというものだった。

降伏か全滅かと首都キーウを脅かす間に、ウクライナ

武力抵抗をあっさり消滅させようというのが狙いだった。

 

しかし、これもまた失敗した。

陥落してロシアの支配下に入った主要都市は南部へルソンのみで、

ここでも住民はロシアの統治に抵抗し続けている。

結局のところ、ウクライナほど巨大な国を圧倒的に支配するには、

ロシアの軍勢は小さすぎた。

そしてロシア軍の戦いぶりは実にお粗末だった。

その理由はいくつかある。

指揮系統の質が低く、キーウからミコライウまで4つの前線に

部隊は分散され、全体を束ねる総司令官がいなかった。

 

加えて、ロシア軍を待ち受けていたのは、不退転の決意で

立ちはだかるウクライナ軍だった。

しっかり訓練されてきたウクライナ軍は、「動的防衛力」を

古典的なまでに発揮し、戦線を維持するのではなく、

敵軍が特に弱い急所を次々とたたくことで、ロシア軍を

膠着(こうちゃく)状態に陥らせた。

 

戦況の停滞にいらだつロシア政府は、今度は「プランC」に

移行した。

これはキーウと北部の制圧を諦め、その代わり、

東部ドンバス地域からおそらく南西部オデーサに至る

南部全域に大攻勢をかけるため、戦力を集結させるというものだ。

主要な港湾都市オデーサを含む南岸一帯をロシアが掌握すれば、

ウクライナは事実上、内陸国になってしまう。

そして現在、南東部のイジューム、ポパズナ、クルルカ、

ブラジキウカなどで展開しているのが、この作戦だ。

 

ロシア軍はウクライナ軍の統合作戦部隊(JFO)を包囲しようと

している。

JFOはウクライナ陸軍の約4割にあたる部隊で、2014年以来、

分離派が実効支配するルハンスクとドネスクの自称「共和国」に

対峙(たいじ)している。

この地域でロシア軍にとって鍵となる目標は、スロヴィヤンスクと

その南のクラマトルスクを掌握することだ。

両都市ともドンバス地方全域を支配するための要衝となる。

 

そしてこの戦争は、軍事的にこれまでとは異なる段階に入った。

今までより広い土地で、今までより良い天候の中、

戦闘が繰り広げられる。

戦車と機械化歩兵、そして何よりも敵の装甲車がなだれ込んでくる

前に相手の防衛を殲滅(せんめつ)するよう設計された

大砲を駆使して。

 

しかし、これはそれほど単純なプロセスではない。

ロシアの攻勢は出遅れ、ウクライナのJFOはロシアの進軍を

食い止めている。

おかげで、今頃はここまで到達しているはずとロシア側が

想定していたほどの前進は、まだ実現できていない。

これによってウクライナ側は貴重な時間を稼いだ。

戦闘が本格化する前に、それぞれが重火器を前線に

投入しようと、今は「ヘビーメタル(重火器)の競争」が進行中だ。

これは今後数週間でさらに状況が進むだろう。

 

しかし、ドンバスで何が起きたとしてもそれは、さまざまな敗北の

選択肢から何かを選ぶ機会を、プーチンに与えるに過ぎない。

戦闘が秋になって膠着状態に陥った場合、それまであまりに

多くの損害と苦しみを重ねたロシアに、プーチンはほとんど何も

成果として示すことができないはずだ。

戦況の勢いが変わり、ロシア軍が後退させられる事態になれば、

なおさらだ。

そして、たとえロシア軍がドンバス全域と南部全域の制圧に

成功したとしても、ロシア軍を追い出したい数百万人のウクライナ人を

前にして、いつまでも両地域を押さえ続けなくてはならない。

 

もしもロシアが軍事的な大成功を収めた場合はおそらく、

ロシアが制圧する全地域で、大規模な反ロシア運動が際限なく

続くだろう。

プーチンは2月に「プランA」に全てをかけて臨んだ。

それが失敗したせいで、続く「プランB」だろうが「プランC」だろうが、

他のどのような計画だろうが、ロシアは全力であたり、広大な国の

一部もしくは全土を押さえ込まなくてはならないのだ。

 

いずれにしても、ロシアはウクライナで戦い続けなくてはならない。

住民と敵対しながら、あるいはウクライナ軍と敵対しながら。

その両方と同時に敵対しながら、という可能性もある。

そして、ロシア軍が撤退しなければ譲歩の検討などあり得ないという

現在の姿勢をウクライナ政府が取り続けるならば、

プーチンはかたくなに突き進むしか、ほかにできることはあまりない。

 

西側諸国は今後も、ウクライナ政府に武器と資金を提供し続けるし、

強力な対ロ制裁をそうそうすぐに解除することもない。

ロシア産エネルギーへの欧州の依存度がいずれ大幅に下がれば、

欧州が本当に欲しいものをロシアはほとんど持っていない。

そしてアメリカも欧州も、自国経済への打撃は小さく抑えたまま、

ロシアを苦しめる厳しい制裁はそのまま残すことができる。

 

ウラジーミル・プーチン大統領個人は、もう後戻りできないし、

戦争犯罪人として起訴される可能性さえある。

彼に残された唯一の政治的な戦略は、ウクライナでの戦争を

実際とは異なる何か別の物に作り替えることだ。

たとえば、「ナチス」に対して、そして喜々としてロシアを敗北させたい

西側諸国の「帝国主義者」に対して、ロシアは存亡そのものを

かけて戦っているのだとする、そういう文脈に。

 

だからこそ、ロシアはその他の欧州全体を相手にした

大祖国戦争2.0」を前にしているのだという、危険な発想を、

プーチンはもてあそんでいる。

そうすることが、彼にとって好都合だからだ。5月9日の

戦勝記念日」にはおそらく、これについてさらに発言を聞くことになる。

プーチン大統領は自分のかじ取りで国もろとも突入した、

実に長く暗いトンネルの先に、光が見えると言うのだろう。

 

 

僕が以前、「アメブロ」「はてなブログ」4月27日付で投稿した

https://blog.hatena.ne.jp/iwaochang/iwaochang.hatenablog.com/edit?entry=13574176438086679262
安倍晋三元首相が語るプーチン」を共にお読みいただければ

良く理解できると思います。

 

 

ありがとうございます。

 

安倍晋三元首相が語るプーチン

メルマガ「週刊正論」令和4年4月26日号

安倍さんがプーチンと度々会っていた理由があった。

 

 

安倍晋三元首相が語るプーチン

 

ウクライナを侵略したロシアの独裁者プーチン大統領と、

日本の政治家で最も会談したのは安倍晋三元首相です。

在任中27回会談した安倍氏が25日夜、

自民党清和政策研究会」会長就任報告会で、プーチン氏の素顔に

ついて語りました。

 

安倍氏はまずウクライナ侵略について「大きな判断ミスをした」と

プーチン氏を強く批判しました。

ウクライナの抵抗を甘く見たとも指摘しました。

 

その上で、在任中に対露外交に力を入れた理由について、

  • 北方領土問題が存在し、ロシアとは平和条約も締結されていない。

さらに高齢の元島民のためにも時間は限られている

  • ロシア人の8割が領土返還に反対するなかで、独裁的な権力を

持っている人物しか反対を押し切ることはできない

  • 中国とロシアの両方に緊急発進(スクランブル)をかけて

いるのは日本しかない。

 

日本にとっては主たる脅威は中国となっているーとし、「北の暴れ者」

と交渉することで、領土問題を解決し、関係改善を

目指したと説明しました。

 

安倍氏は領土交渉で事実上の二島返還に舵を切り、

日露平和条約の締結を目指しましたが、

打開は図れませんでした。

 

プーチン氏の人柄については「力の信奉者で戦国時代の

武将みたいだ。織田信長に人権を守れといっても

通用しないのと同じだ。

理想ではなく、ロシアにとって得か損かで判断する」と

評しました。

 

安倍氏は2016年5月に英国首相の別荘「チェッカーズ」に

招待された際、キャメロン英首相(当時)から

プーチンはスパイなんだよ。

相手にワインを勧めるが自分では絶対に飲まない」との

話を聞いたことを紹介しました。

 

英国訪問後、ロシアの保養地ソチを訪れ、プーチン氏と会食した

安倍氏は実際にプーチン氏が相手にはワインを

勧めるものの自分では飲まなかった様子を目撃しました。

 

この年の12月、今度は安倍氏が地元の山口県長門市

プーチン氏を招待し、温泉旅館「大谷山荘」で食事し、

地酒「東洋美人」を出しました。

プーチン氏はいつものように口にお酒をちょっと

つけただけでしたが、グイと飲み干しおかわりもしたといいます。

 

外務省はその理由について

  • 安倍元首相についに心を開いた

②「東洋美人」の美味しさに負けたー

との二つの可能性があると分析したそうです。

 

「美味しかった」との感想をもらしたプーチン氏は翌日の

共同記者会見でも「素晴らしいお酒だ、お薦めする。

ただし、ほどほどにしなければいけない」と絶賛しました。

もっとも、ロシア側の通訳に問題があり、「東洋の美人は

素晴らしい」と訳しました。

それを聞いた安倍氏は「まるで私がプーチンにハニートラップを

かけたみたいだ」と驚いたといいます。

 

安倍氏プーチン氏とのエピソードを紹介した上で、

ロシアのウクライナ侵略の教訓として、

軍事的なアンバランスは危険であり防衛費を

国内総生産(GDP)比2%以上にする必要があるとともに、

日米同盟をさらに強化し、自由で開かれた

インド太平洋構想に賛同する国々とも協力することの

重要性を強調しました。

 

安倍氏は「台湾有事は日本有事」と繰り返していますが、

「相手が日本の覚悟を見誤らないようにするため」と説明しました。

 

 

どうでしたか?

僕は納得がいきましたけれど

 

ありがとうございます。

「戦争法」=「安保法」と言う憲法・政治学者

日刊ゲンダイ24日付金子勝立正大学法学部名誉教授の

自民党安全保障調査会(会長・小野寺元防衛相)が

まとめた「敵基地攻撃能力」改め「反撃能力」の

保有検討を後押しする提言案」に対する反論なのだろう

掲載記事を見つけたので有権者の皆さんに

読んでいただきたく投稿しました。

 

「安保法」というより、日米安保に対する言い分でしょう。

安全保障条約なる条約は、日米に限らず、いずれの

諸外国でも条約の性質上「集団的自衛権」という

条項は必須条件です。

戦争をしたがる国家・戦争をする国家と

要するに「好戦国家」と彼は言いたいのでしょう。

「敵基地攻撃能力」「反撃能力」という文言は

専守防衛」じゃ日本国を護ることは不可能であると

ウクライナ・ロシア戦争でイヤっというほど、

国民は理解したのでしょう。

その裏付けとして最新の世論調査

憲法9条改正」は60%弱、

「防衛費増額」は80%の国民が賛同している

という結果が出ている。

 

このような時流に逆らうこと、何の価値も無いでしょう。

日本共産党代表志位さんでさえ、

日本国を護るための自衛隊出動、やむなしと認めたでしょう。

おそらく、この金子勝教授も日本共産党員でしょう。

北海道はロシア領と宣言したロシアを名指しで非難すること、

当然でしょう。

それを「この危険な時代に新たな火種をまき散らす愚策だ」と

言い切った。

この感覚のズレは洗脳され、常軌を逸脱している。

 

金子勝教授は安倍内閣憲法9条下で集団的自衛権の行使を

使うことが可能と安倍内閣法制局が解釈したことを

憲法12条や99条を盾に批判している。

 

12条は

この憲法が国民に保障する自由及び権利は国民の不断の

努力によって保持しなければならない

こういう権利を抵抗権と言います。

憲法に反する行為を行って国民の自由や権利を脅かしたら、

その政府は憲法上正当性がないから、

国民は抵抗権でその政府を下す権利がある

 

99条は

憲法尊重擁護義務を言っています。

国会議員は憲法改正発議ができますが、

憲法を悪くすることはできないんです。

それは憲法尊重擁護義務に反するからですと。

 

つまり、現憲法を護り、憲法改正は悪であると

言っています。

 

まず、下記の文言は学習会参加勧誘のための

チラシの内容です。

 

東久留米「九条の会」学習会「戦争法」と憲法

2015年11 月 29 日(日) 時間:18:30~ 20:30

場所:東久留米市民プラザホール 参加費:300円(資料代)

主催:東久留米「九条の会

 

金子勝さん プロフィール 

立正大学法学部名誉教授。

専門は憲法学、 政治学、社会科学論。

愛知大学時代に日本国憲法の礎である「憲法草要綱」を

作成した鈴木安蔵に師事。

鈴木の遺志を継いで「憲法九条」を守る護憲平和運動

日本全国に展開している。

「九条科学者の会」呼びかけ人、「世田谷・九条の会」呼びかけ人

忘れもしない 9月 19 日未明、圧倒的多数の国民の

反対の声を無視。

ほとんどの憲法学者違憲だと言っている「戦争法」の

強行採決が行われました。

民主主義の基本である立憲主義が危機にさらされています。

違憲でも法案が通れば憲法が後からついてくる。」

「しばらくすれば関心がなくなるだろう。」

そんなこと言わせるわけにはいきません。

廃止をめざし、あきらめないで、これからが始まり。

「戦争法」(安保法制)のどこが問題なのか、

これから何ができるのか。 立正大学名誉教授の

金子勝さんをお迎えして、 お話をうかがいます。

東久留米「九条の会」では 2 回目の登壇。 ぜひご参加ください。

 

 

次は日刊ゲンダイへの掲載記事です。

 

自民党が「反撃能力」提言しロシアを脅威と名指し

危険な時代に独裁者にケンカを売る気か

日刊ゲンダイDIGITAL 2022/04/23 14:58

会長の小野寺元防衛相(C)日刊ゲンダイ

この危険な時代に新たな火種をまき散らす愚策だ。

自民党安全保障調査会(会長・小野寺元防衛相)が

まとめた「敵基地攻撃能力」改め「反撃能力」の保有検討を

後押しする提言案。

反撃能力を持つ理由について、安全保障環境が

「加速度的に厳しさを増している」と指摘し、

その脅威として中国、北朝鮮、そしてロシアを名指しした。

 

攻撃対象も従来想定していたミサイル発射拠点に限らず、

「指揮統制機能等も含む」と踏み込んだ。

その具体的内容は「手の内を明かせない」と、

もったいぶった理由から提言案では触れていないが、

攻撃意思を決める敵国の指導部や軍の司令部などが

想定される。

ミサイルを撃ち落とせないから撃たれる前に

敵国の中枢をたたく──。

そんなムチャな発想は、指名されたロシアなどの指導部に

「日本側が『撃たれる』と勝手に判断すれば、いつ先制攻撃を

受けるか分からない」と、不要な刺激を与えるだけだろう。

さらに、提言案は「防衛装備移転三原則」の緩和も主張。

「侵略を受けている国に幅広い分野の装備移転を

可能とする制度」の検討を打ち出した。

ロシアのウクライナ侵攻が念頭にあるのは明らか。

民生用と称し、軍事目的で使えるドローンをウクライナ

与えるだけでは足りず、殺傷力のある武器まで渡すのか。

まるでプーチン大統領にケンカを売るような内容ばかりだ。

 

「米インド太平洋軍司令官が昨年3月、中国は『6年以内』に

台湾に侵攻する恐れがあると米議会で証言。

バイデン大統領も『台湾が中国から攻撃された場合、

米国が台湾を防衛する』と発言しました。

2027年は中国人民解放軍の創設100周年。

それまでに台湾を攻めるという米国の見解に従い、

提言案は防衛費倍増の目標を『5年以内』に区切っています。

拙速に見えるのは、米国の軍事戦略に隷従する

自民党内の焦りの表れ。

あと5年で憲法の平和主義、専守防衛を捨て去り、

米国と共に戦争ができる国にしたいのです。

提言案を実行に移せば、日本周辺の独裁国がキバをむいて

くるのは確実、その覚悟を国民に語らず、一足飛びに戦争への

危険性を高めていいのでしょうか」(立正大名誉教授・金子勝氏=憲法

 

国民も戦争バカに唯々諾々と従うのか、覚悟が問われている。

                  以上

最後の文言は新聞紙上で使用する文言ではないでしょう。

 

 

ありがとうございます。

 

戦場に社会が見える

「人類の歴史は、戦争の歴史だ」とはよく言ったものです。なぜなら戦争とは、社会の営みの延長線上にあるからです。戦争と軍隊のカタチは、その時代、その社会のあり方と分かちがたく結びついています。

 戦争の歴史を追うことは、戦争という切り口で、人類の歴史を追うことなのです。
戦争について知ること

 戦争や軍隊は、どこか一般社会から遠くかけ離れたもののように、とかく日本では思われがちです。 「日本軍事史」では、こう述べられています。
軍事とは、軍隊・軍備・戦争など、文字通り軍にかかわることをさす言葉であり、一般には敬遠されることの多いテーマかもしれない。しかし、ここ数年の事態を持ち出すまでもなく、戦争や軍隊の 問題は現代に生きる私たち一人ひとりにとって、無関係でいられないものになっている。

…平和と民主主義の大切さを考える時に、その対極にあるものを敬遠し忌避するだけでは不十分である。…戦争や軍隊の問題を、歴史的な文脈の中でもう一度考えてみる事が今こそ大切であるように思われる。
 まったくその通りです。

 ですが戦争を知るということは忌避されがちだし、また「戦場」を知ることだと誤解されがちでもあります。ある時代の戦争を知るということは、その時代の社会を学ぶことです。

戦争は、「戦い以外」でできている
また、軍隊が行うのですが、しかし、軍隊「だけ」で戦争をやることは不可能です。戦争は、その国、その社会のあり方によって生じてきます。政治や社会の延長なのです。
 戦争というと多くの人がイメージするのは「戦”闘”」です。しかし戦闘は戦争という営みの中の、ワンシーンに過ぎません。戦争という大事業のほとんどは、戦い以外でできており、社会と分かちがたく結びついています。

戦争は戦場のみのものではない。まして戦闘が行なわれる前線のみを見ていても
戦争の全体はわからない。
兵士はロボットではないから、たとえば腹も減るし、病気にもなる。死傷者も出る。
もちろん物資の現地調達という方法もあったが、それも含めて兵糧や物資補給の
ための兵站という活動が必要になる。
医師や職人も軍団に動員され、兵士や武器の面倒をみる。また、兵士自身がどこからどのように供給されるのか、武器や移動手段はどうかなど、戦争をささえる条件も時代によって大きく異なっている。
あるいはまた、こうしたことを考えてくると、戦争は軍隊のみのものではないことに も気がつく。戦場の背後にあって戦争を成り立たせたさまざまな装置や仕組みが存在したのである。

 だから各時代の戦争のあり方、軍隊のカタチを知ることで、その時代や国の政治、経済、社会と技術の変化を知ることになります。

戦場の主役が、社会の主役
 松村元陸将補は著書「戦争学」のなかで「歩兵の時代と騎兵の時代」を分けて論じています。戦場で歩兵が優位にたつ時代と、騎兵が優位にたつ時代がある。ヨーロッパでいえば、古代ギリシャやローマは歩兵の時代。中世は騎士という名の騎兵の時代。フランス革命のころからは、また歩兵の時代です。(これはちょいと簡略化しすぎの説明なのですが)

 ざっくりいえば、歩兵の時代には市民が力をもち、騎兵の時代には貴族が力をもちます。民主政治は歩兵の時代に栄え、騎兵の時代には封建制でした。戦場を支配するものが、社会を支配したのです。

ギリシャの戦士(裸マントではない)
 ある時は、思想が社会制度を変え、社会のあり方が軍事制度を決定します。その思想、その社会がどんなに正しいものであっても、暴力で蹂躙されればおしまいです。思想があり、社会があっても、これに適した軍事技術がなければ、その社会は倒されます。

 古代ギリシャ都市国家。軍隊は市民たちからなる重装歩兵でした。この密集陣がペルシャの大軍を何とか凌いだことで、ギリシャ都市国家群と、その社会はペルシャ戦争を生き残りました。この戦争の一幕を快作アクション映画にしたのが映画「300」です。もっとも「300」の戦士たちが半裸に赤マント、武器は短剣という超軽装で、これはフィクション。


 
 本物のギリシャの戦士は鎧を着て長槍をもっていました。
 

 これがタテヨコに列を作って戦います。貴族も、平民も、みんなで肩を並べて戦う。一人でも逃げたり、抜け駆けしたら、陣形が台無し。負担は平等で、英雄は不要。アーサー・フェリルの著書「戦争の起源」では、ギリシャの歩兵密集戦法はその社会に根付いたものだったと論じています。ギリシャ以前、エジプトなんかでは、すでに三兵戦術、古代のコンバインド・アームズが行われていました。歩兵、騎兵、弓兵を組み合わせた戦法です。しかしギリシャは歩兵、歩兵、そして歩兵。みんな等しい装備で、肩を並べて戦う軍隊のカタチが、ギリシャの社会のカタチの反映でもあったからです。
 しかし重装歩兵の密集陣より優位に立つ、歩兵・騎兵を両用するマケドニアの軍事ドクトリンが発明された時、ギリシャの歩兵は敗れ去ります。

騎士の時代
 ある時は、技術の進歩が、優勢な兵器を交代させます。その兵器をもっとも有効に使える階層や集団が軍事力を獲得します。彼らは社会の主導権を握り、新しい社会制度を作り、それを正当化できる思想を採用します。
 中世は騎兵の時代です。アブミの発明と馬格の向上といった技術革新で、騎兵の戦闘力が向上しました。強力化した騎兵は、戦場を支配します。すると馬を扱える職業戦士、騎士や武士といった戦士階級が軍事力を握ります。自然、社会の主導権を握り、封建の世を築きます。

ライフルと民主主義
 

 近代民主主義の誕生は、啓蒙思想とライフルの発明を待たなければいけません。思想が社会を革命し、ライフルが戦場を革新しました。ライフルの特徴は2つ。第一に、とんでもなく強力。第二に、その威力を最大に発揮できるのは、大量に動員できて、かつ自分の命よりも国や民族のために戦う命知らずの国民軍だってこと。ライフル時代の戦争に勝利するには国民軍が必要で、国民軍を手に入れるには、まず「国民」を作り出さねばなりません。市民に権利を与え、国政に参加させ、さまざまなシンボルを用いて「俺たちは国民だ」という仲間意識を持たせることです。

 つまりは戦争に生き残るため、国のカタチを変えなければいけませんでした。ドイツの将軍グナイゼナウが端的に言い放ったように「国民が祖国を有効に守るべきだというなら、まず、国民に祖国を与えねばならぬ」のです。思想が社会の形を決め、社会が軍隊の形を改め、そして軍隊がそれに適した技術でもって、社会と思想に仇なす敵を圧殺しました。

軍隊を見ることで、人は何を見ているのか
 

 戦争のあり方を左右するのは、その時代の軍隊のカタチです。そして軍隊のカタチは民主制や封建制といった政治体制に規定され、馬やライフルといった軍事技術に支えられます。ハケット将軍が述べたように「一つの国がその戦闘部隊を覗き込んでいるとき、それは鏡を覗き込んでいるのである。つまり鏡が本物であれば、その国が鏡の中で眺めているその顔は、その国自身の顔である」といっていいでしょう。
 
近年、軍隊の、そして戦争の形は多様化しつつあります。山賊が自動小銃をもち、海賊がミサイルを放っています。テロリストが飛行機でビルに突っ込むかと思えば、環境保護団体が国家にケンカを売る時代です。テロと戦争、国家とそれ以外の差異は再び曖昧になり、戦争の定義と、世界の形はゆらぎっぱなしです。
 未来の戦争はどうなるのでしょう? 言い換えると、未来の平和はどうなるのでしょう?

 

 

ありがとうございます。