産経新聞 三井美奈記者の実に納得のいく掲載記事である。
フィンランド国際関係研究所のアルカディ・モシェス研究員
ウクライナ情勢が緊迫する中、「ウクライナをフィンランド化してはどうか」と
いう構想が浮上した。マクロン仏大統領が今月7日、モスクワ、ウクライナを
歴訪中に記者団の前で、「机上の案の一つ」と述べたことが発端だ。
フィンランドは東西冷戦中、米主導の北大西洋条約機構(NATO)、
ソ連中心のワルシャワ条約機構のいずれにも属さず、中立を貫いた。
東西のはざまで、民主主義を守った。
プーチン露大統領の要求が、ウクライナを「NATOに加盟させないという
確約」であるなら、フィンランド化は選択肢かもしれない。
論議が広がった。
フィンランド国際問題研究所のアルカディ・モシェス研究員に聞くと、
あれは小国としての苦渋の選択です」と、苦々しそうに言う。
「幸せな国」番付で首位に立つ。
だが、ロシアと約1300キロの国境で接し、かつてはロシア帝国の
支配下にあった。
第二次世界大戦中、ソ連の大軍に敗れ、国土の約1割を奪われた。
1948年には、ソ連と友好協力相互援助条約を結んだ。
中立の現実は、対ソ宥和(ゆうわ)外交だった。
非合法だった共産党が復活し、政府は人事で配慮した。
ソ連批判の本や映画は自主規制で排除。学校の教科書にも、
ロシアがクリミア半島併合に動いたときだ。
マクロン氏は「ロシアは欧州の一員」と言い、勢力均衡を重視する。
キッシンジャー氏の「レアルポリティーク」(現実政治)に注目したのも無理はない。
だが、モシェス氏は「ウクライナ問題の『フィンランド化』解決は、
ありえない」と一蹴する。フィンランドでロシア語を母国語とする人口は1・5%、
ロシアが「同じ民族」と主張して介入したことはない。
ウクライナは3割で、ロシアとは中世以来のつながりがあり、
状況はまるで違う。
そもそも、大国の都合で中小国の運命を決めるという発想自体がおかしい。
モシェス氏は「21世紀にヤルタ体制などありえない」と言い、
米英ソが第二次大戦後の世界秩序を決めた時代とは違うのだと強調する。
ウクライナでは04年と14年の2度、親露派指導者が大規模デモに
追い詰められ、失脚した。
国民がロシアにはない自由と民主主義を求めているのは明らかだ。
ロシアをなだめようと、欧米が中立案を押し付けても、長続きしない。
ロシアは逆に、かつてフィンランドにしたように、干渉の口実にするだろう。
日本にとっても、他人事ではない。「われわれは大国。歴史に根差す支配権がある」と考える国が、東アジアにもいるではないか。この国は台湾の「自決権」を
全く認めず、周辺国の領海に無遠慮に入り込んでくる。
他国の主権や人権を尊重しない国に、「互いの勢力圏はここまで」と
線引きをしても、決して満足することはないだろう。
現代に必要な「レアルポリティーク」とは相手の真の狙い、
欲望の底知れなさを見定めることだ。(パリ支局長)
全くその通りであって、ストンと落ちるような気になる。
ウクライナのゼレンスキー大統領はウクライナ国民の自由であるべきと
自由を望んでいる、この事実をもっと国際世論に訴えるべきだ。
また、日本国民に於いても同じことと思う。
ただ、日本国内には自由という意味合いをはき違えて
いらっしゃる方たちも結構な数が居るけど、そんなノンキなことを
言っている時ではないと僕は思う。
ありがとうございます。